
出典:https://www.bloomberg.co.jp/
新型コロナワクチンの開発をめぐり各国で開発が急ピッチで進められている中、8月11日にロシアのプーチン大統領が、新型コロナウイルス感染症のワクチンを完成させ、保健省が正式承認したことを明らかにしました。
新型コロナワクチンの名は、「スプートニクV」。
旧ソ連時代の1957年の世界初の人工衛星「スプートニク1号」に匹敵する偉業としてと命名されたそうで、海外への輸出も検討しているとのこと。
スプートニクVの安全性は?
このワクチンは、通常の風邪を引き起こすアデノウイルスの株を利用して免疫反応を引き起こすものだそうです。
ワクチン開発において、WHOが認定している臨床試験の項目は第3段階までありますが、ロシアの規制当局は、臨床試験の第3段階が完了する前に使用認可を出しているんです。
また、このワクチンの臨床試験の期間は2カ月未満というから驚きです。
実はこれ、大変由々しき問題なんですね。
通常、ワクチン開発にあたっては、臨床試験を通じて有効性と安全性が確認される仕組みとなっています。
また、ワクチンの臨床試験は、3つの段階に分けて行われることが一般的なんです。
第1段階目では、通常、少人数の健康な成人を対象に小規模な試験として行われます。要するにワクチンの有効性と安全性に関する予備的な探索を行うことを目的としています。
第2段階目では、健康な人を対象にワクチンの使用方法などに関する試験として行われることが一般的で、対象には未成年者や高齢者を含むこともあります。
ここでは、ワクチンの接種量、接種スケジュール、接種経路を明確にすることが主な目的となります。
最後の第3段階目では、大規模な集団において有効性と安全性のデータを得ることが目的となります。
投与される被験者にも投与する医師にも分からないよう、ランダムにワクチンまたはプラセボ(偽薬)を割り当てて投与し、その効果を比較することで有効性をテストします。
これは「無作為化二重マスク比較試験」と呼ばれており、被験者にも医師にも分からないことから「二重マスク」と言われています。
この第3段階では、数千人規模の集団を対象とすることもあり、ここで研究開発費の多くが費やされると言われています。
成功して実用化できるか、それとも失敗に終わるか、まさにワクチン開発での最大のヤマ場と言えますね。
この第3段階目をすっ飛ばしてしまっているのが、ロシアワクチンの「スプートニクV」なんです。
ということで、このロシア製新型コロナワクチン「スプートニクV」の安全性はゼロと言っていいでしょう!
自身の娘を実験台に
プーチン大統領には相当の自信があったのか、自身の娘の1人にもワクチンを接種させています。
ここで疑問なのが、なぜ自身で試さず娘に試したのか?という点です。
恐らくプーチン大統領の考えとしては、自身の身内にも治験を行い、問題なかったことを国内外にアピールすることで、この「スプートニクV」ワクチンの安全性を訴えたかったのでしょう。
だからといって、よりによって将来性のある娘を実験台にしたのは、娘の命よりも自身の命が大事だということを暗に言っているように聞こえるので、結果的に国内および世界から見てもマイナス評価になるのではないでしょうか?
もしかすると、自身の娘にワクチンを接種したのは嘘では?と思えて仕方ないのは私だけではないでしょう。
新型コロナワクチン「スプートニクV」の今後
ワクチン開発を担ったモスクワのガマレヤ記念国立疫学・微生物学研究センター当局者は、同じくモスクワに拠点を置くロシアの非政府系通信社であるインタファクス通信に対して「10月頃からモスクワで3段階目の試験を開始するのと同時に、各地で市民向けの接種を始める予定だ」と述べています。
イギリスロンドンに本社を置くロイター通信は「ワクチンを承認する前に大人数を対象した治験を実施するのは当たり前で、それを行わないままワクチンを承認するなど無謀だ」とするドイツの病院関係者の見解を紹介していることからも、今回のロシアが行ったあるまじき行為に対して、世界の注目が高いことを示したかったのではないかと考えています。
世界で新型コロナ感染が蔓延する最中、コロナワクチンの早期開発が期待されるところですが、安全性を無視したワクチンが世界で使用されることがないようにWHOがリーダーシップを発揮してもらって導いて欲しいところです。
とは言え、中国の言いなりとなっている今のWHOには期待できないので、アメリカを筆頭に同盟国同士が協力しあってより良い方向に向かうことを願っています。