
こんなお悩みにお答えします。
✓本記事の内容
・どのワクチンを打てば良い?
・ワクチンを打つ回数とタイミング
ビションフリーゼを飼うようになってから犬への愛着が生まれ、現在はミックス犬のポメプーと一緒に暮らしています。

今回は、愛犬のワクチン接種について解説していきます。
愛犬を感染症から守るためにも予防接種は必須事項の一つですが、何をどう接種すればよいのかペットショップの店員さんやブリーダーさんの言われるままではありませんか?
生活環境によって必要なワクチンも変わってきます。
必要以上のワクチン接種によって、副作用をもたらすケースもしばしばですので、この記事を読んでワクチンの種類と効果を正しく理解し、愛犬を感染症から守っていきましょう。
それでは本題に入ります。
ワクチンの種類
ワクチンには、1つは接種が義務付けられている「狂犬病予防接種」と、もう一つは飼い主が任意で行うその他の感染症予防接種の「混合ワクチン」の2種類があります。
まずは、そもそも犬のワクチンとは何なのか解説します。
犬のワクチンとは
ワクチンとは、病気が発現しない程度に毒性を弱めた病原体、死滅させた病原体等を含ませたもので、感染症を防ぐために接種するものです。
毒性の弱い病原体を体の中に入れることで抗体をつくり、その感染症に対しての免疫ができます。
免疫ができると、いざ感染源(病原体)が体の中に入ってきたら攻撃を開始して、病気を発症させない、発症しても軽い症状に抑えることができます。
犬の感染症の中には、伝染力が強く死亡率も高いものもありますので、感染しないためにも必ず接種するようにしましょう。
混合ワクチンの種類
混合ワクチンには、致死率の高い感染症を防ぐ「コアワクチン」、居住地域や生育環境によって接種を推奨されている「ノンコアワクチン」とがあります。
ちなみにこれらワクチンは、全部で以下の11種類になります。
〔コアワクチン〕※狂犬病予防接種もコアワクチンに含まれます。
①ジステンパーウイルス感染症
②アデノウイルスⅠ型感染症(犬伝染性肝炎)
③アデノウイルスⅡ型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)
④パルボウイルス感染症
〔ノンコアワクチン〕
⑤パラインフルエンザ感染症
⑥コロナウイルス感染症
⑦レプトスピラ感染症コペンハーゲニー型(イクテロヘモラジー/黄疸出血型)
⑧レプトスピラ感染症カニコーラ型
⑨レプトスピラ感染症ヘブドマディス型
⑩レプトスピラ感染症オータムナリス型
⑪レプトスピラ感染症オーストラリス型
それぞれの症状について解説してきます。
〔コアワクチン〕
①ジステンパーウイルス感染症
感染犬との直接接触や、鼻汁や唾液、目ヤニなどの分泌物、糞便や尿などの排泄物との接触、飛沫の吸入により感染します。
発症した場合の症状の出方にはかなり幅があり、無症状から死亡まで多様。
発症初期は、一定しない発熱を繰り返し、鼻汁、くしゃみ、結膜炎、食欲不振、白血球の減少がみられます。
その後、下痢や血便、肺炎が起こりますが、痙攣や震えなどの強い神経症状が現れることもあり、神経症状が落ち着いても後遺症が残ってしまうこともある怖い感染症です。

②アデノウイルスⅠ型感染症(犬伝染性肝炎)
犬伝染性肝炎は、犬アデノウイルス 1 型により発症する肝炎を特徴とする病気です。
症状としては、発熱、腹痛、嘔吐、下痢や病気の回復期に眼の角膜が白濁する(ブルーアイ)などが見られることもあります。
生後 1 年未満の子犬が感染すると死亡率が高いことでも知られています。

③アデノウイルスⅡ型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)
犬アデノウイルス 2 型感染症は、乾いた咳を主症状とする感染力の強い呼吸器の病気です。
その他の症状としては、発熱、食欲不振、くしゃみ、鼻水などが見られますが、他の病原体との混合感染により症状が重くなり、肺炎を引き起こしてしまうこともあります。
④パルボウイルス感染症
感染犬の糞便や汚染された環境から、口や鼻を介して体内に侵入して、血流に入って全身へ運ばれます。
症状としては、発熱や食欲不振、嘔吐に始まり、トマトジュースのような血便(下痢)を起こします。
伝染性が強く、症状の進行も早く、死亡率も高い、非常に怖い感染症です。
犬パルボウイルスは、周囲の環境中でも数ヶ月間生存するほど感染力が強く、生後2ヶ月未満の子犬など免疫力のない子犬が感染し発症した場合、心筋炎で重篤または急死することもあるので注意が必要です。
〔ノンコアワクチン〕
⑤パラインフルエンザ感染症
コアワクチンで解説した③アデノウイルスⅡ型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)と同じく、集団飼育下で感染しやすく「ケンネルコフ」の主要病原体のひとつです。
伝染力が非常に強い感染症ですが、単独感染での死亡率は低いです。
感染犬との直接接触や飛沫感染で、侵入したウイルスは鼻粘膜、咽頭、気管支で増殖します。
発熱、くしゃみ、咳、扁桃炎を引き起こし、二次感染を起こすと肺炎などに進行してしまいます。
ケンネルコフとは?
「犬風邪」とも呼ばれます。
「犬アデノウイルスⅡ型」や「犬パラインフルエンザウイルス」をはじめ、気管支敗血症菌、犬ヘルペスウイルス、マイコプラズマなどのウイルスや細菌などが、単独あるいは組み合わせって感染することにより引き起こされます。
単独の病原体での発症では症状は軽いことも多いのですが、いくつかの病原体の混合感染をしてしまうと重篤になってしまうので要注意です。
「ケッケッ」という乾いた咳が特徴で、合併症が起こらなければ、数日~2週間ほどで症状は治まってきます。
⑥コロナウイルス感染症
感染犬の糞便や汚染された環境から口や鼻を介して侵入し、消化管で増殖します。
嘔吐と下痢が主な症状で、子犬は二次感染を起こして重篤化することがあります
単独での発症であればそんなに症状が重くなることはありませんが、「犬パルボウイルス感染症」と併発すると重篤化し、命にかかわることもあります。
ですので、「パルボウイルス」と「コロナウイルス」を一緒に予防することが重要です。
⑦レプトスピラ感染症コペンハーゲニー型(イクテロヘモラジー/黄疸出血型)
⑧レプトスピラ感染症カニコーラ型
⑨レプトスピラ感染症ヘブドマディス型
⑩レプトスピラ感染症オータムナリス型
⑪レプトスピラ感染症オーストラリス型
レプトスピラ菌は、動物と人間の共通感染症(人獣共通感染症)のひとつです。
また、レプトスピラ菌には数種類が存在しており、感染した菌によって症状が異なります。
「共通感染」なので、動物から人間へ(その逆もあり)感染してしまう怖い病気です。
感染源は主にドブネズミが持つ「レプトスピラ菌」で、尿から排出されたレプトスピラ菌が犬や人の皮膚に触れることで感染します。
・歯ぐきの出血や黄疸が見られる「黄疸出血型」(肝臓が冒される)
・高熱、嘔吐、下痢を起こす「カニコーラ型」(消化器が冒される)
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どのワクチンを打てば良い?
「犬のワクチン」といえば、【混合ワクチン】のことを指すのが一般的です。
混合ワクチンは、「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」の組み合わせで、各種メーカーから販売されています。
混合ワクチンの種類
各メーカーが販売している「混合ワクチン」には、いくつか種類があります。
よく「〇種混合ワクチン」と呼ばれているのを聞かれたことがあると思いますが、「〇種」は感染症の種類になります。
最近では「2種」「5種」「6種」「7~11種」に分かれています。
ここで、「7~11種」と表記したのは、「レプトスピラ感染症」をひとくくりにしたものです。
✓2種混合ワクチン
・犬ジステンパー
・犬パルボウイルス感染症
✓5種混合ワクチン
『2種混合ワクチン』に下記をプラスしたもの。
・犬伝染性肝炎
・犬伝染性喉頭気管炎(犬アデノウイルスⅡ型感染症)
・犬パラインフルエンザウイルス感染症
✓6種混合ワクチン
『5種混合ワクチン』に下記をプラスしたもの。
・コロナウイルス感染症
✓7~11種混合ワクチン
『6種混合ワクチン』に下記をプラスしたもの。
・レプトスピラ感染症コペンハーゲニー型
・レプトスピラ感染症カニコーラ型
・レプトスピラ感染症ヘブドマディス型
・レプトスピラ感染症オータムナリス型
・レプトスピラ感染症オーストラリス型
混合ワクチンの選び方
最近の動物病院では、「5種」「6種」または、「8種」「9種」が多く採用されているようですが、自分の愛犬はどちらを接種すべきか?
答えは、「生活圏に合った」ものを打つ!
たとえば、市街地にお住まいで屋外でキャンプなどしないインドア派のかたであれば、「5種」または「6種」(かかりつけの動物病院で採用しているもの)で問題ありません。
同じように市街地に住んでいるけど、週末には愛犬を連れて山や川・海で遊びに行くなど屋外での活動が多いというかたは、「8種」もしくは「9種」(かかりつけの動物病院で採用しているもの)を選びましょう。
あと、自宅近くに山や森林、田畑が多い自然豊かな場所にお住まいのかたも「8種」「9種」をオススメします。
ワクチン接種による副作用について
ワクチンによる副作用(ワクチンアレルギー)は、ワクチン接種直後~約2時間以内に起こるアレルギー反応です。
ワクチン接種後のアレルギー反応にはさまざまありますが、代表的なものは以下の症状です。
- 流延(よだれ)
- 嘔吐
- かゆみ
- じんましん
- 顔面腫脹(ムーンフェイス)
メモ
「ムーンフェイス」とは、目の周り・口の周りが腫れる症状です。
ボクシングで殴られたように腫れて目が開かなくなります。
人間もアレルギーで、目の周りが腫れてしまう人がいますが、それと同じような症状です。
さらに重症化したものを「アナフィラキシーショック」と言います。
- 虚脱(意識が低下し、立ち上がって体を動かすことができない状態)
- 失神
- 呼吸困難
などを起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。
アレルギー反応が出てもすぐに処置してもらえるように午前中にワクチン接種を行い、接種後30分くらいは動物病院に留まって様子を見るか、すぐに動物病院へ連れて行けるように、病院まで時間がかかる場合は帰宅せずに動物病院の近くで待機するなどして、もしものときに備えておきましょう。
ワクチンの費用
・狂犬病ワクチン
市区町村の集団接種や、動物病院で受けることが可能です。
市区町村の集団接種の場合は3000円前後で、プラス「狂犬病予防注射済票交付手数料」として、600円前後かかります。
動物病院の場合は自由診療になるため、各動物病院での料金設定になり、集団接種より高いケースもありますので事前に確認することをオススメします。
・混合ワクチン
大体1種当たり1,000円程度かかるようです。ですので、5種で5,000円~6,000円、8種で8,000円~9,000円程度必要になります。
かかりつけの動物病院でも恐らく大差ない金額だと思いますが、念の為に確認されると安心ですね!
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ワクチンを打つ回数とタイミング
ワクチンは、たった1回の接種で完了するものではありません。
基本的なワクチンプログラムにおいては、1歳までに3回接種することが推奨されていますので、子犬から育てる場合、子犬に必要なワクチン接種を終えるまではお散歩はしないように!
まずは動物病院で健康診断をしてもらいましょう。
その際に、現在のワクチン接種状況を伝え、今後のワクチンのスケジュールについて獣医さんに確認してください。
ワクチンのスケジュールにはさまざまな考え方があり、いつでなければならない!という決まりはありませんが、一般的に母犬の初乳からもらった移行抗体と呼ばれる免疫が薄れてくる生後6〜8週目に1回目のコアワクチン接種を行い、その後、免疫を確実なものとするために、生後16週以降までに2〜4週間隔での追加接種を行う「3回接種」が推奨されています。
3回接種を推奨する理由としては、2回目のワクチンを打つ頃に子犬の体に移行抗体が残っていると、2回目のワクチンの効果が機能していない可能性があるためです。
もし、移行抗体がなくなるタイミングとワクチンを接種していない時期が重なると、感染症にかかるリスクが高まることから、計画的に追加接種をして子犬が感染症にかからないように。
子犬のワクチンプログラムが終了したら、1年後に生活スタイルに合ったワクチンを接種しましょう。
その後は、1~3年ごとに接種して免疫力を保つようにしましょう。
「1~3年」と幅を持たせてあるのは、感染症の種類によっては毎年やる必要はないと言われているからです。
毎年ワクチン接種を行うことで、ワクチンの効果をしっかりと発揮することが期待できますが、一方で費用がかかったり副作用が発生する可能性もあるため、間隔を伸ばして定期的にワクチン接種を行っている例もあります。
生活スタイルやお住まいの地域での感染リスク、愛犬の体調や持病の有無などによって獣医さんと相談しながら接種することをオススメします。
混合ワクチンは接種して約3週間で免疫がつきますので、キャンプに連れて行く場合などはその辺りを計算してワクチン接種をされたほうが良いと思います。
まとめ
愛犬を感染症から守るためには、是が非でもワクチン接種が必要です。
狂犬病ワクチンは年に1回の接種義務が法律で定められていますし、重篤化しやすい感染症予防にはコアワクチンの接種が有効でしたね!
コアワクチンに加えて生活スタイルにあったノンコアワクチンと合わせて混合ワクチンの接種で、愛犬を感染症から守りましょう。
この他に、愛犬を長生きさせるための秘訣についてまとめた記事もありますので、チェックしてみてください。
愛犬が長生きするための5つの秘訣!日頃から気をつけることとは?
今回は以上です。